潮時

前年の年末あたりから週に3回訪問マッサージを施術いただいて

いる。昨日の昼下がりにチャイムとともに、いつもにこやかな

お顔をしながら、要所、要所のツボを「お前はもう死んでいる」

のごとく《おやすみのマジシャン》は、時に強く、時に優しく、

神の手かと勘違いするほどの気持ち良さで、落としていく。


ウトウトとする夢の中で不意に話しかけられ、気のない返事。

「近藤さんとこは、もう10万円入りましたか?」「はい・・」

「うちはまだで・・・ 近所の知り合いも入ったようで・・・」

「どうなってるんでしょうかねえ? 」「知りませんか?」

いつも突如、この身には、いたずらの虫が騒ぎ出す。

「はずれがあるみたいですよ・・・」「え!!」

「はがき届いてませんか? 」「はずれ、って大きく書かれて」

「あなたは、選にもれました、って」「えっ、ほんと?」

「はい」「そうですか・・・」あきれ顔で僕を見ながら、手元を

ぎゅっと強くさせる。「え、はずれがあるんですか・・・」

「美人と男前しか支給されないって」「***さんは・・・・」

「なるほど・・」もう潮時だと判断した。「もちろん、ウソです

よ」「そうですよね」「国民全員に支給って聞いてたんでね」

「はい・・」 いつもこんな風にお互いバカを飛ばし合っている。

《バカになれる分だけ、人は親しくなれる》 その後も、

世間話でお茶をにごす。

《いくら頭で何かを考えても、伝えなければ、ないのと同じ。》

今朝は曇り空の穏やかな空気の中、気がつけば、アジサイが

じゃっかん、雨露にぬれていた。本格的に梅雨の季節到来だ。


今日はここまで。近藤浩二でした。

では、また。


一方、かみさんは、玄関用の敷きマットの清掃交換に来た業者に

ラジコンカーをジョイスティックで操作中に、「今日はおいくら

ですか?」「千****です」「ほう・・・」「ちなみに、

ころラジコンカー、いくらくらいと思われます?」

「2,3千円くらい?」「千円でおつりがきます。」

財布を取り出し、「千円と***円、はい、どうぞ」

「どうも、ありがとうございます」「こんな機械が

千円でおつりがくるのに、こちらは、マット交換するだけで

千円じゃ足りないん・・・ ですよね? 」困惑ぎみの営業マン

に僕がさらに追い討ちを 「そろそろ、しおどきですかね・・」

にやりと笑いかけた。笑うかどには福来り。


今日もごちそうさま。


 

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