徒花(あだばな)

師走に突入して、はや半ば過ぎ、正月までもういくつですかね。

毎年この時期になると恒例のように放送されるのが「忠臣蔵」

元禄時代の実話であり、武士の「忠義」を取り扱い

歌舞伎の演目にもなった有名な史実。それと酷似したもので、

先日二日続けて幕末ドラマ「白虎隊」を視聴しました。


「白虎隊」と言えば幕末の会津若松での戊辰戦争のひとつの

実話として有名です。そしてそれは悲劇にも関わらず

美談として感動的に描かれています。

「忠臣蔵」、「白虎隊」二つの話には

共通点が数多く存在します。

  • 江戸時代
  • 主君のために戦う
  • 武士道精神
  • 忠義に殉ずる
  • 自決する
  • 悲劇である
  • 美談に語り継がれる
  • テレビドラマ、映画化される

なぜに日本人は「大儀(たいぎ)」の名の下に

自刃して果てた人達をこんなにも異常に

美化するのが好きなのでしょうか?

「判官贔屓(ほうがんびいき)」の精神が

こうも日本人のDNAに流れるのでしょうか?

強い者に立ち向かい死んでいった弱き者を

英雄視するのでしょうか?

実際、僕自身もテレビや映画などを視聴して

登場人物に自分を同一視したり投影して、

悲しい場面では涙ぐんだりするものです。

でも少し冷静になると僕は別の異なる考えを持つのです。

それはなぜ彼らは自ら進んで

死ななければならないのだろうか? と。

生き延びてさらなる花を

咲かせようとしないのか? と。

当時(江戸時代)の価値観を

現在の価値観で推し量ることができないことは当然です。

「武士道とは死ぬ事である」の精神を

僕には到底理解できません。

「生き続けてまで、生き恥をさらしたくありません」

「立派に死のう!」ドラマの中のせりふです。

しかも「白虎隊」では会津藩主は既に

「負け戦」であろうと理解していたにも関わらず、

家臣の進言には耳を貸すこともなく

鉄砲、大砲に対して年寄、女、子供にまで、

やりと刀を持たせて、戦わせるといった

愚鈍(ぐどん)に陥っていたのです。

そしてあろう事か、藩主殿様は戦後家臣に腹を切らせて

自分の戦犯は逃れて、神社の宮司になって

明治の時代まで、天寿をまっとうするのです。

何かが間違っていると思う僕は

ダメな人間なのでしょうか?


ここから先は歴史の結果を知り得た者

だからこそ言える勝手です。

もし仮に、上に立つリーダーとその関係者たちが時代の潮流を

読む目を持っており殿様が馬鹿じゃなければ、

逆に時代を読む目を持っていなくとも、

ある意味においてもっと馬鹿であって、

早い段階で戦争を放棄すれば

多くの若者を死なせずに済んだであったであろうと考えるのです。

「立派に死ぬ」などと言った「徒花(あだばな)」を

散らせる必要などなかったはずなのです。


僕だったら命を助けてくれるなら

何だってしてあげられるよ!

土下座だって一万回だってするよ!

うそ泣きなんて何度でもできるよ!

裸になって陰部だって見せるよ!

「何か?」のために死ぬくらいなら

笑われたって生き続けるよ!


死んでしまえばもはや「花実」は咲かないのです。

我々人間の根底にある感情は、絶対ハッピーエンド

のストーリーで満足する生き物のはずです。

死んでしまうば、そこで物語は終わりなのです。

未来は無いのです。不思議な事に

大多数の人達は悲劇の物語を観て、

悲しい結末に感情移入して

自分も悲しみ涙することが、大好きな生き物なのです。

そしてそれを誇大に美化するのです。

しかしそれは、この上なく美しく咲き誇っても

決して「実」を結ばない

「徒花(あだばな)」でしかないのです。

その一方で、上に立つ人間の技量と能力が

下で支える人間の運命をも握っている事を

痛感する物語なのでした。


「誰かのために、誰かを殺す」

この図式は戦争であっても、単純な殺人であっても

自殺であっても、正当防衛であっても、

当てはまる図式です。

このような図式の成立は、創造主も絶対

望むものでは無いはずです。

どれほど美しく散ろうとも

この世に徒花(あだばな)は

決して存在させてはならないのです。


今日はここまで。近藤浩二でした。

今日も洋楽3曲紹介します。ではまた。


イーグルスでロングランです。

1979年リリース。アルバム「ロングラン」からシングルカット。全米No.8位。小気味の良いソウルロック。

ジョフォルシュのスライドギターが冴え渡る。

愛し合う二人ならば、どれほど時間が掛かろうが

乗り超えられるはずと言った内容の歌曲。


 

カーペンターズでバカラックメドレーです。

1971年リリース。アルバム「カーペンターズ」より

・ Knowing When To Leave 『 去りし時を知って 』
・ Make It Easy On Yourself 『 涙でさようなら 』
・ (There’s) Always Something There To Remind Me 『 愛の想い出 』
・ I’ll Never Fall In Love Again 『 恋よさようなら 』
・ Walk On By 『 ウォーク・オン・バイ 』
・ Do You Know The Way To San Jose 『 サン・ホセへの道 』  ) 】です。

テレビの公開ライブ演奏です。カレン自らドラムを叩いています。

リチャードがアレンジしています。

単曲よりも得した気分になる楽曲です。


 

スティーブンビショップでイットマイトビーユーです。

1983年リリース。全米No.25位。映画「トッツイー」の主題歌。サンドトラックからシングルカット。

邦題「君に想いを」。「人は誰でも運命づけられた人が居るんだ。」、「それは君かもしれないよ」って歌。

曲中に「All of my life」のフレーズが何度も出てくる。「自分の人生において」の意味。

なんだか気分の晴れないメロディーが妙に心に残る。

米国のシンガーソングライター。


おまけでエルビスコステロでシーです。

1999年リリース。全英NO.19位。映画「ノッティングヒルの恋人」の主題歌。サンドトラックに収録。彼のベストアルバムにも収録。カバー曲。

原曲は1974年フランスのシンガーソングライターのシャルルアズナブールの作品。当時全英No.1獲得。様々な言語で歌われている永遠の名曲です。

とてもドラマティックな美しいバラード曲。

エルビスコステロは英国の人気シンガーソングライターです。


 

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