最近余裕のある時間が増えまして
テレビを視聴する機会が増えました。
とりわけ、TBSの日曜劇場「陸王」毎週楽しく視ています。
良質の作品を観たり読んだりすることで
書くことが職業でない僕は
モチベーション(やる気)を維持させようとしています。
「林修の初耳学」見ながら久しぶりにこれ書いています。
時代の荒波に飲みこまれ、青息吐息(あおいきといき)の
100年の歴史を持つ老舗(しにせ)の足袋(たび)屋が
ランニングシューズに活路を見出そうと
鋭意努力していく物語。
とんでもなく面白い、
とっても大きい
とっても良く出来た、精巧な
虚構(作り話)=嘘なんですよね。
でもこれが真実以上に奇抜でドラマティックなのです。
嘘の中にこそ本当の真実が隠れている、
その真実が如実(にょじつ)に浮かび上がるのです。
そしてドラマになればなるほど
心に響きやすい、残りやすいのです。
「下町ロケット」の直木賞作家、池井戸潤氏が原作です。
この人本当に勉強家なのだと、つくづく感心する。
経歴ネットで調べると「元銀行マン」。
うっそー!!
だって工学的な機械や素材などの
工業分野にとっても造詣(ぞうけい)が深い。
しかもストーリー展開が漫画のような
荒唐無稽な要素がまったく皆無なのであります。
現実味が色濃く反映して、
原因と結果の繋がりには、
偶然性の要素がほとんど感じられず
必然性の影響しか無く
すごく論理的なのです。
そして根底には「人間」が映し出されています。
そこが人気の秘密なのでしょう。
スタートからゴールまで、三歩進んで二歩下がるほど
一歩一歩前進もしないのです。
二歩下がって匍匐三前進(ほふくぜんしん)って感覚
まるでミミズが這(は)うほどにしか進まない。
しかるにストーリーがなかなか進展しない。
そのため一話一話の内容が
役所広司の顔ぐらい、すごく濃い。
一瞬の「わき見」も許されない。
トイレに行くことさえ許されないのです。
下準備が半端じゃ無いのが一目瞭然。
映像を観て、原作も読んでみたいと思わされました。
明日早速本屋に立ち寄ってみよう!
「読んでから観るか?」、「観てから読むか?」
地方出身の僕は映画を観に行くことは簡単には
出来ないと判断し、読むことを優先させたのでした。
高校生時代、角川映画の宣伝に乗せられ「**の証明」の文庫本
を2冊購入したものの、全然面白く無くて2、3ページ目を通し
て本棚に並べたまま状態。未だに読んで無い。
それから流行に乗ることに疑問を持ち始めたのです。
人気の秘密を僕なりに考察してみよう。
日本人の好むマジョリティーのストーリーと
物事が絶対順風満帆に進まないのです。
ここで物語のランニングシューズの宣伝に
日本人の最も好きなスポーツのひとつである
マラソンが使われています。
これで半分は心を掴んでいます。
さらには進む道には必ず大きな障害が立ち塞(ふさ)がる。
しかもそれを乗り越えるのがまた簡単じゃない。
単純なアイデアと行動だけでは解決しない。
とっても高尚な理想と不屈の精神力を持つ者だけが
理想と現実の間で自分自身に自問自答を繰り返し
心の中での戦いに打ち勝った方を選択して
全力で勇往邁進(ゆうおうまいしん)し行動するのです。
結果の最後の最後にはその行動の背景が強く影響を及ぼします。
そこには目先の「我欲」や「自分だけの利益」
が見え隠れしている者たちは排除されるのです。
人間の持つ根源の「善」や「良心」が
人の心の琴線(きんせん)に触れて、
心の真っ黒を真っ白に塗り替えて
塞(ふさ)ぎかかった物語の展開(人の心)をこじ開けていくのです。
人の創った「モノ」によって、その「モノ」に関わる人の
心の動きを描写しているのです。
しかし根底には「モノ」では無くあくまで
「人間」を描いているのです。
最後は「心の正しき者」が
「心の邪悪な者」に勝利するハッピーエンドの物語なのです。
ある意味で勧善懲悪(かんぜんちょうあく)なのです。
ここで「心の正しき者」とは
「正直」、「善良」、「誠実」な人達なのです。
「心の邪悪な者」とは
「尊大」、「狡猾(こうかつ)」、「我欲の強い者」な人達なのです。
そして往々にして「心の正しい者」たちは
小さく、か弱い立場の、壊れやすい人間なのです。
例えるならば《卵》のような存在なのです。
一方「心の邪悪な者」たちは
大きな組織で、高くて堅い、壊れにくい人間なのです。
言い換えれば堅固な《壁》のような存在なのです。
村上春樹氏はおっしゃってましたが
現実社会では、《卵》は《壁》には
絶対勝てませんが、
自分はどのような場合でも絶対
「《卵》の側に立つ人間でありたい」とのことです。
僕もそんな人間でありたいと思います。
彼の言葉を一部抜粋します。
我々にはとても勝ち目はないように見えます。
壁はあまりにも高く硬く、そして冷ややかです。
もし我々に勝ち目のようなものがあるとしたら、
それは我々が自らの
そしてお互いの魂の
かけがえのなさを信じ、
その温かみを寄せ合わせることから
生まれてくるものでしかありません。
「陸王」残念ながら現実社会ではまず起こり得ない話です。
しかしせめて虚構の世界だけでも実現してほしいと思う
マジョリティーの心情に訴えかけた物語。
人間が本来持っている魂の純粋や尊厳を浮かび上がらせているのです。
「陸王」によって、村上春樹氏と同様な真実が
僕にも感じ取られました。
あなたにはどのような《真実》が見えましたか?
足袋屋の話だけに、地に足が着いた本当に完成された作品。
今日はここまで。近藤浩二でした。
洋楽3曲紹介します。ではまた。
トトでアフリカです。
1983年リリース。自身初唯一の全米No.1。アルバム「トトⅣ」からシングルカット。
都会での生活にうんざりした男が、
もしアフリカで生活するとしたなら
といった意外と前向きな妄想の話。
ボーカルのデビットピンチと今は亡きキーボード奏者のスティーブポーカロの共作。
トトは西海岸の一流スタジオミュージシャンで作られたグループ
便器メーカーのtotoとは無関係。
単なる心地良い音の響きを取っただけ。
カーペンターズでスーパースターです。
1972年リリース。全米No.2位。カバー曲。
原曲は1969年デラニーアンドボニー。レオンラッセルとボニーとの共作。
ギタリストのスーパースターに恋心を募らせるファンの心情を歌った歌。
レオンラッセルでアソングフォーユーです。
1970年リリース。レオンラッセルの作品。自身ではヒットせず。カーペンターズのヒットにより世間に広まる。
数多くの人にカバーされている玄人好みの隠れた名曲。
アルバム「レオンラッセル」は彼の名曲をほぼ網羅した名盤。
「スーパースター」、「マスカレード」など。
荒削りながら、まるでダイアモンドの原石のような
作者の潜在能力の深さを感じさせる興味深い歌曲。
何ともしっくりこないピアノの和音の響きと
お世辞にも上手いとは言えない歌で個性豊かな楽曲となっている。
商業的成功にはほとんど興味を示さない、
ただ自身のやりたい音楽を追及しようとした
音作りに感動すら覚える。
日曜日ドライブで走行中、FMラジオで現在ビルボードの
ヒットチャートでレッドツェッペリンが映画の挿入歌に使用されダウンロードでNo.1になったと紹介されていました。
レッドツェッペリンでロックンロールです。
もっとハードロックな「移民の歌」も好きですが
こっちの方が聴きやすいので選曲しました。
ガスを充満して帰路をドライブ中、ラジオでDJの山下達郎が竹下まりあの大ヒットアルバム「リクエスト」の紹介をしていました。
収録曲全曲流れました。普段Jpopは聴かない僕ですが。
日曜日は妻が同乗してましたのでラジオは点けたままでした。
全作作詞作曲して自分で歌う、彼女の才能にただただ感服し
天才の作品を満喫しました。
その間《天才》でない僕は自分は《変態》かもと、
様々な《妄想》を想いめぐらせていました。