最近めっきり寒くなりましたね。
あれほど暑かった夏は遠い昔のようです。
最近知ったことですが、暦の上ではもうすでに冬だって。
人工的な不快は痛みを伴いますが、
自然の不快はまだ、まったくましだ。
かゆい所を鋭利な先で
突っつくようで痛、気持(いたきも)ちが良い。
夏の次は秋であるはずなのに
四季で僕が最も好きな秋は、いったい
どこに行ってしまったのでしょうか?
先日ドライブで山間(やまあい)の道路を走行中
秋の代名詞の紅葉を発見。
風に揺られた紅葉がフロントガラスに
落ちては吹かれ、
落ちては吹かれ、
どこにも居座ることさえ許されず、
ただ風の都合で
渓谷(けいこく)の川に吹き飛ばされて、
たくさんの仲間と共に流されて行きました。
でその中に銀杏紅葉を発見。
銀杏を見ると思い出すことが二つあります。
文明に囲まれていると、自然が恋しくなる。
四季の移(うつ)ろいを実感すると、自然の摂理を感じる。
自然に囲まれていると、人間が恋しくなる。
一つはアメリカホームステイ時代
とある秋のよく晴れた日曜日の昼間、ホストの手伝いで
庭先の落ち葉を拾っていると、
銀杏(ぎんなん)があっちにこっちに
落ちているではありませんか。
僕は日本の事を思い出して嬉しくなりました。
ホストにも喜んでもらおうと
美味しそうな銀杏の実を10個ほどポケットに詰め込みました。
家中に戻って
「いいもの拾った」。「何?」
まだ若かった(それでも20代後半)
僕は子供のように嬉しくて、
ホストに喜んでもらおうと、
驚かせようとして
「目を閉じて、掌(てのひら)出して」
彼女は少し白い歯をのぞかせ、
微笑みながら手を差し出しました。
僕は彼女の掌に多くの銀杏(ぎんなん)を載せました。
僕は彼女がそれを見て喜ぶ姿を考えると、
一人わくわくしていました。
彼女も何やら嬉しそうでした。
「何?」。「当ててみて」。
「食べられる?」。「うん」
「何かの木の実」。「うん、何の木の実かな?」
「ほんとに、食べられる?」「うん」
英語で「銀杏(ぎんなん)」を知らなかった僕は戸惑いました。
よく聞きとれなかったのですが、
「ぎんこーナッツ」(ginkgo nuts)と言われたと、
「何?」僕が聞き返しました。
「ぎんこーナッツ」やはり同じでした。
彼女は目を見開いて、
なぜか、顔を赤らめて
話す言葉も失ってしまったのか
少しの間
無言で、うなだれて
その場に立ち尽くしていました。
僕がどうしたの?と聞くと、我に返って
ため息をついて「はっ、こうじ!!」
「これは食べられないの」。
「ただのごみ」と強く言い切られてしまいました。
僕は耳を疑いました。
その後、彼女は手にした銀杏をゴミ箱に投げ捨てました。
その日は彼女とは夕食時まで言葉を交わしませんでした。
その後、分かったことですが
アメリカでは普通、
銀杏(ぎんなん)を食べないのです。
もう一つは小学生の頃、贅沢にも
夕飯に茶碗蒸(ちゃわんむ)しが出ました。祖母は喜んで
酒好きの叔父さんと二人で熱燗(あつかん)で
美味しそうに頬張(ほおば)っていました。
夕食後にもまだ杯を傾けていました。
ご膳(ぜん)は片付けられて、
酒の肴(さかな)が無さそうでした。
僕は昼間に買った
アーモンドチョコを思い出しました。
「ばあちゃん」、「美味しいのあげよ!」。
「嬉し」、「何かな?」。
冷蔵庫から取り出し、
祖母に銀紙で包まれた
残り少ない、貴重なアーモンドチョコをひとつあげました。
祖母は手にしたアーモンドチョコの銀紙をはぎ取り、
ぽいっと口に入れました。
歯の悪い祖母は、
噛(か)むことも無く
口の中でくちゃくちゃして、
まるで飴をなめるように、なめまわしていました。
数分後のことです。
「こうちゃん」、
「これ、《たね》が入っとる!」
と言って口の中から
アーモンドの実を取り出しました。
ある者にとってはたいへん《美味しい食べ物》でも
ある人達にとってはただの《リスの食べ物》であり
あるいは《種(たね)》でしかないのです。
残念な事に
人間は一人残らず
お互いに分かり合えない所が
少なからず、一つはあります。
人は、事が上手(うま)く運ばれなかったことを
感じられる、振り返りのために
生きているようなものなのです。
僕の懐かしい、絶対忘れることの
出来ない秋の思い出でした。
皆さんはどのような思い出がありますか?
今日はここまで。近藤浩二でした。
今日も洋楽3曲紹介します。ではまた。
僕が洋楽ばかり紹介するのは、
僕が「Jpop」を聴かないからなのです。
僕は「洋楽」が大好きなのです。
気分がすぐれない時には、ご機嫌な歌を聴いて
憂鬱(ゆううつ)を吹き飛ばそう。
素晴らしい音楽と言うのはそういう時のためにあるんだから。
素敵な恋人と同じような存在なのだから。
ポールマッカートニーでメイビアイムアメイズドです。
1970年リリース。ファーストソロアルバムに収録。
1976年ライブバージョンでシングルカット。全米No.10
本人もお気に入りでライブでは必ず演奏。こちらはウイングスのライブアルバム「オーバージアメリカ」に収録。
間奏のギターソロがとっても良い。ポールのシャウトが熱い。
スティーリーダンでペグです。
1977年リリース。アルバム「エイジャ」から先行シングルカット。全米No.11位。アルバム「彩(エイジャ)」は名盤
このアルバムからドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーの2人になりました。
完璧を目指す彼らは曲ごとにスタジオミュージシャンと時間とお金を惜しげも無く使いアルバム製作に耽(ふけ)ります。
「ペグ」ではコーラスにドゥービーブラザーズのマイケルマクドナルド、ギターにジェイグレイドンが参加。
ペグとは英国の映画女優のこと。
カーペンターズで「愛にさよならを」です。
1972年リリース。アルバム「ア ソング フォー ユー」からシングルカット。全米No.7位。
自分に悲観的になって愛することに決別する歌。
ボーカルのカレン自身の事を歌っている。
カレンは1983年32歳の若さで他界。
中盤と後半のギターソロがたまらなくかっこいい。
ギターに当時としては珍しいファズを掛けて
ロック色を出している。
学生時代テレビで数少ない、
洋楽アーティストのライブ演奏で彼らのライブ演奏を視聴。
終盤のギターソロの演奏風景が目に焼き付いたままでした。
僕はカーペンターズの中でお気に入りの歌のひとつ。
バラードとロックの両方のテイストを合わせ持った優れた楽曲。
今日もおまけで味わい深いスローバラードです。
ドゥービブラザーズでサウスシティーミッドナイトレディーです。
1973年リリース。シングルカットなし。アルバム「キャプテン アンド ミー」B面一曲目。ギター担当のパットシモンズの作品。南部の雰囲気漂う泥臭いカントリースローバラード。
「midnight lady」ですから夜の女性。
娼婦か飲み屋の水商売の女性に関する歌。
アコースティックギターとスティールギターが曲を盛り上げる。
様々な場面でBGMとして利用される人気の曲。