春の気配 OF 85

雲が遠くまで、はき出された、青空の澄みわたる週末の土曜日。


母を連れ出し近くの茶店でモーニングを楽しみ

その後北西に車を走らせること30分、小高い丘の中腹あたりの

世界一長い吊り橋の起点に位置する、

休憩所「サンライズ糸山」に到着。


車を降りると潮の香りが優しくほのかに漂う。

緩やかな坂が自然と足を進ませてくれる。 =軽やかだ。=

青天のおかげで、レンタルサイクル場がにぎわっている。

建物の自動扉を抜けると、正面には強化一枚ガラスからの

海のパノラマが広がる。空は一面、青空。海が陽の光に

反射して目にまぶしく、きらきらと輝いている。

=これぞまさに絶景。=

最前列の一等席に、三人で横一列に腰かける。

水平線が隠れてしまうように、瀬戸内の島々が

握りこぶしほどの大きさで、交錯して点在している。

海面はそよ風による、さざ波だけのおだやかな海上。

時おりエンジン駆動で個人の、小指ほどの釣り用船舶が

海上を滑走している。  心が休まる、落ち着く、癒される。

時間が《ゆったりとゆっくり》と流れる。

=「せとうちや、ああせとうちや、せとうちや」です。=


「お義母さん、いくつになった?」  何気に尋ねる。

すぐにはかえってこない。

「なんぼなんかいね、、、、忘れた、、」

視線をそらせてつぶやく。

 

「うちの母と同級生やから、今年85やわ」

あっと、思い知らされ、ふと我に返る。

「そうなん」。  驚いたように振り返り、うなずく。

「そうだねー」って突っ込む。

=間がもたず、手持ち無沙汰なのか=

「何か食べようか?」ジャンボもなかを等分する。

「もぐもぐ」、「もぐもぐ」、「コーヒー買ってこよう」

ホットのつもりがアイスのボタンを、押してしまったようだ。

仕方なくアイスにアイスを混ぜ込む。でも美味い。

 

「お義母さん、どこか行きたいとこある?」、

「うーん、特になーい」。そっけなく答える。

 

「何か食べたいものは?」、

「うーん、ないね」。即答する。


人は自分で経験したことの無い事は思い描けないのだ。

見たことのない景色は空想することも、

心に思うことも、考えられないのだ。

想像できないのだ。というよりその前に、

考えよう、想像しようとしないのだ。


昭和ひとけた世代は、生きるだけで精一杯だったのだ。

 

特に母は貧乏性で贅沢とはまったく無縁な人なのです。

 

《家族を思いやり、つましく生きるだけ》 の少し哀れな母に

シンパシーを感じた。

=子供のころの 母の苦労を思い出し、うなだれる。=

しかしここでふと考えさせられた。

経済成長の渦中(かちゅう)で 豊かさを経験した者こそが

幸福であるといった、価値観の押し付けは

傲慢(ごうまん)以外の何ものでもないのであろう。

母が僕たちの考えを受け入れることはないであろう。


どのような人にとっても無条件に良いと思う価値観なんて

絶対存在しないのだ。

 

何かをしてあげようといった《急場しのぎ》は今は不必要かな?

 

頼まれもしないことに、首を突っ込む

おせっかいは、よそうと思いとどまった。


今日はここまで。近藤浩二でした。

洋楽紹介します。ではまた。


リトルリバーバンドでリミニッシングです。

1978年リリース。全米No.3位の大ヒット。アルバム「夢追い人」からシングルカット。自身初のヒット曲。

ムード音楽のフレーバー漂う甘い楽曲。ジャズの要素もあり、サビのハーモニー、エンディングのサックス、短いギターソロなど聞き応えたっぷりの出色のナンバーです。

邦題「追憶の甘い日々」=「reminiscing」

=「思い出にふけること」

オーストラリア出身のロックグループ。


 

キャロルキングでフィールジアースです。

1971年リリース。5週連続全米No.1位。アルバム「つづれ織り」からシングルカット。アルバム「タペストリー」は超大ヒット。「イッツ テュー レイト」との両A面。

邦題「空が落ちて来る」。ライブ音源。

ピアノの連弾の始まりが印象的。かっこいい楽曲です。

ブルース要素いっぱいのロックナンバー。


 

ホイットニーヒューストンで「すべてをあなたに」です。

1985年リリース。全米No.1位。アルバム「ホイットニーヒューストン」からシングルカット。

同アルバムから全米No.1位獲得3曲収録。彼女の出世作。

邦題「すべてをあなたに」。いけない恋だと分かっていても

自分の心に素直に正直でいたいのよっていった

禁断の恋を歌った歌曲。バラード曲。

マイケルマッサーとジェリーゴーフィンとの黄金コンビの作品。


 

マイケルジャクソンでビリージーンです。

1983年リリース。7週連続全米No.1位。アルバム「スリラー」からシングルカット。言わずと知れたキングオブポップ。

アルバム「スリラー」はギネス認定の音楽史上最大のヒットアルバム。とっても乗りの良いダンスミュージックかな。

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