ミシン

私の母の姉になる叔母は、昭和6年生まれ 今年86歳。

ずっと独身だった叔母は、若いころは洋裁をし生計を立て、既製品が出回るようになった頃、市の社会協議会でヘルパーの仕事をしていました。

わたし達三姉妹のお揃いのワンピースや中学、高校の制服もずっと、叔母が縫ってくれていました。

メジャーでサササッと、丈や首回り、肩幅を図り出来てしまう洋服は、本当に魔法のようでした。

私は、まったく洋裁に興味もなく、家庭科の授業でパジャマやブラウスを作るのも なんとか形になってたくらい。

そんな叔母が、6年程前 認知症にかかり、グループホームへ。

そして、叔母の家の中を片づけた時 持って帰った足踏みミシン。

電動ではなく、カタカタと足を踏み動くあの昭和のミシンは、洋裁に興味ない私でも 懐かしく 手放すことが出来ず 我が家へ持ち帰って来ておりました。

玄関に置き、訪れる人は「わっ!!懐かしいミシン」と言って、このレトロなミシンを見ておりました。

そして 今日 ミシンの上だけ欲しい!と言う人がいて、覗いてみると 2個のねじで止めてあるだけ。

マイナスのドライバーで、外してみると 簡単に外れ 永年、台の上に鎮座していたミシンは、隣の街のおしゃれなマダムのお家にお嫁入り。

そして、ミシンが外された台はテーブルにちょうどいい高さ。

ポッカリ空いた ミシンが鎮座してたところは ガラス板でも置くとおしゃれな感じ…かな?

 

長いあいだ、叔母と共に生きて来たミシンは また違う場所で輝き、

そして残ったこの台は、毎日訪れる人との楽しい時間を共に過ごすことになりそうです。

母の姉妹の中、ひとり残ってる叔母。

病気が、叔母の記憶をどんどん忘れさせていくけれど、わたし達3姉妹に精一杯してくれたこと…時には口うるさくも感じた時もあるけれど、大切にしてくれた思い出はずっと胸の中生き続けます。

今日は、美空 ひばりさんの「人生一路」