起業家と呼ばれる人たちがリスクを恐れず、リスクを背負って
新たな事業に挑むベンチャー精神の持ち主。とはネットで調べた
ファーストペンギンの説明。「語源」はペンギンの習性から生ま
れた言葉で、ビジネス界隈でよく用いられます。氷原にポカリと
穴が空いた時。ほとんどのペンギンは穴の周りに集まり、中を
のぞみ込み、中に、食料の魚は居ないか、天敵の大きな肉食獣は
居ないか、氷上から中の様子を窺(うかが)います。大多数の
ペンギンは食料の獲得よりも、命の危険を心配して、飛び込も
うとはしません。そこに笑みを浮かべ、スタスタ、ひょこひょこ
とやって来たのは、お腹を空かせた大胆不敵な一匹のペンギン。
奴は周りが顔を見合わせ、飛び込むのをためらっているのを
尻目に、ドボンって穴の中に飛び込むのです。この段階では
まだ周りのペンギンは、一匹も飛び込みません。目の前で飛び込
んだペンギンの、顛末(てんまつ)をうかがい注視しているの
です。奴が多くの魚を土産に持参して、無事に還って来るのか、
血だらけになって猛獣に食べられてしまうのか。その結末を
凝視、無事に魚を持って還った様子を観て、確実に安堵して、
食料にありつけるのを認識して、初めて一斉(いっせい)に
飛び込むのです。そうして誰もが食料にありつくことが
出来るのです。時には、最初のペンギンの動向を最後まで
確認せずとも、安全で魚をゲット出来るだろうと、5割以上の
見込みを信じて、2番目、3番目に飛び込むペンギンも存在しま
す。広く知られるようになったのは、NHK朝の連続ドラマ「あ
さが来た」で五代友厚がヒロインのあさに、ペンギンの写真を
見せ「ファーストペンギン」の大切さを説(と)いた時で
しょうか。先日半年間続いた朝ドラ、NHKドラマ「まんぷく」
のモデルの安藤百福さんは、まさにその「ファーストペンギン」
と言えるでしょう。閉塞していた時代に、風穴を開けて新しい
爽やかな風を吹かせて、人々を快くさせて、元気を与え幸福に
した者達。その呼び名はまさに強大な尊敬に値する称号なの
です。しかしです。歴史をさかのぼってみると、
彼らのほとんどは、その勇気と忍耐と労力に見合うだけの、
見返りを受け取ることは、大概ありませんでした。ハイリスク
なのにハイリターンじゃないのです。ファーストペンギンよりも
セカンドペンギン。セカンドペンギンよりサードペンギンの方
が繁栄を長く維持するのです。それぞれの時代にも誰にも役割
があるって事なのでしょうか? 新たな時代を切り開こうとする
ような人間は誰よりも早く、先に走り始めるのです。しかも2歩
も3歩も先を走りたがるのです。でも先走り過ぎ、頑張ってしま
うため、目先が見えない時があって、誰も歩いていない道という
ことも重なって、その道中は過酷を極め、嵐が襲い、遭難寸前で
す。結果、迷い込み、躓(つまづ)いて、倒れてしまう事が多い
のです。それは先駆者として、避けられない運命なのです。
2歩や3歩までも行かなくても、程良く半歩先に行く人間が、
2歩3歩先を行く者が倒れた様子を注意深く観察して、
学習するのです。それから同じ失敗をしないように改善案を
実行に移して、先駆者が落としてしまった、より美味しくて、
さらに大きい果実を拾い上げていくのです。二番手戦略の優位性
とでも言いましょうか。欧米の車企業より《トヨタ》。《アップ
ル》より《マイクロソフト》。《ソニー》より《松下電業》。
信長より秀吉、家康。等の歴史がそれを物語っています。しかし
何より喜ばしいことに、今も全世界で年間数億食売れ続けている
今世紀最大の発明品と言われるカップ麺の発明者の百福氏は、
日清食品の創業者で、生涯(享年96)現役の発明家。名実共に
成功した、偉大な実業家兼発明家。「ファーストペンギン」
として、真に活躍した数少ない成功者。ドラマでは多くの辛苦を
経験、飢えて豚並みに落ちぶれて、臭い飯を食べて生き延びたり
即席めんの類似品、粗悪品に悩まされ、利益を度外視して
即席めんの協会の立ち上げに尽力しました。ここで概して、
人間を含む全ての生物は、絶えず変化する不確実な環境に適応
しながら今日まで生き延びてきています。不確実な状況において
は、群れの誰かがチャレンジャーになって、不確実な現実と格闘
し、新たな活路を見出さなければなりません。もし全員が過度に
自己防衛本能を働かせ、不確実性を避けて、行動を起こさなけれ
ば、群れ全体が滅んでしまいます。このジレンマを乗り越えるた
めに、生物は進化の過程で《不確実性を好む脳》を発達させてき
たらしいことが、最近の脳科学研究で明らかになっています。
ドラマでは多くの大切な教訓を我々は得ることができます。
まずひとつは成功者の典型的な行動力と言えるでしょうか。
「言うは易く、行うは難し」ですが、
1とにかく挑戦してやってみる、少しでも可能性があれば何でも
実行してみるということ。つまり、《バカバカしい》とか《意味
がない》とか言って、やらずじまいなやつらは、結局そこまでし
て成長したくないという事。『やらない』という行動を通して、
無理してまで成長しなくても良いと言う自分を正当化しているの
です。2もうひとつは《世の中の役に立つ》と言う揺るがない信
念を曲げることなく貫いたのです。またそれが行動の源泉にも
なっているのです。
3・そしてどんな人の言葉にも耳を傾ける《謙虚》
4・《既成概念》に捕われない《柔軟な思考》
5・自信を持つのに根拠はいらない・・自分は出来ると思い込む
だけ・・ やれば出来る・・成し遂げるまで頑張る。
6・神経質過ぎるほどの注意力による《観察眼》等でしょうか。
昭和の時代には、人は結婚して子供を授かって、家族を作ること
に値打ちがありました。言うまでもなく、人間は、子孫を多く
残し、繁栄させることに本来の価値があります。しかるに、
平成の世であった時代には、科学の著しい進歩に伴って、日常
生活では、身の周りにはモノが、社会には、未だ矛盾が溢れか
えっていました。昭和から引き続き社会が豊かになったおかげ
で、人々の価値観は大きく移り変わっています。好むと好まざる
とに関わらず、日本中がこの価値観の変遷の波に飲み込まれてい
きました。結果、個人主義が蔓延し、結婚を望む若者が激減、
さらに子供の数も低減、かくして人口減少に歯止めがかかりませ
ん。詰まる所少子高齢化に起因する、労働人口減少等、多くの社
会問題が引き起こされてしまいます。平成からどんな時代に
変わっても、人は愛を渇望します。しかし深い愛ゆえに人は傷
つき、人を傷つけると言った罪を犯します。それでも人は愛を
求め続けます。平成を振り返れば、人々は常に大きな代償を
払い、それぞれの欲望と執着の中で生きてきました。大きな
喪失体験の連続。現在、効率と競争の冷たい社会だからこそ、
真に本当に必要なものは、《温もり》とか《信頼》や《安心》
なのです。人は心配や不安を抱えたままでは冷静になれません。
愛する人、会社、頼りにしていたものが崩れ落ちてしまいます。
真に頼りに出来るのは自分の思い、思考、気づき、真理だけで
す。だからこそ、今この瞬間にだけ気持ちを集中し、頭を休める
と、視野が広がり、周りが見えてきます。そして目の前の畑を
ひとつひとつ耕していけば良いのです。
今日はここまで。近藤浩二でした。
ではまた。PS I LOVE YOU.
新元号が発表される前夜に、少し平成を振り返ってみました。